私(シェフ)がお客様や友人にパスタを振る舞う時によく言われるのが
やっぱりプロは、茹で方が違うよね!
ですね。
もう、今となってはそんなに特別拘っているつもりも無いのですが、それでもシッカリと身に付いているみたいですね、茹で方が。
パスタが好きで、よく作ったり、よく食する方たちの中では、もう当たり前になっているのが
アルデンテ
ですね。
イタリア語で
歯応えがある
という意味です。
書いて字の通り、噛んだ時に少々芯が硬く感じる食感のことですね。
一言 『アルデンテ』 と言っても、これが千差万別。
イタリア人はみんな、各個人のそれぞれの『アルデンテ』を持っています。
硬めの『アルデンテ』を好む人もいれば、柔らかめの『アルデンテ』が好きな人もいます。
地域性で言えば、南に下るほど硬めになる傾向があります。
(そもそも、北の方は生パスタを好む傾向があります。)
イタリア留学時代の夏休みに、マルゲリータ発祥の店
Pizzeria Branbi (ピッツェリア ブランディ)
で本物の『マルゲリータ』を食べよう、とナポリに行った時でした。

マルゲリータは2日目の夜に食べたのですが(まぁまぁ、美味しかったです)、ナポリは港町なので魚介類も豊富!
せっかくなので別の日に
リングイネ アッラ ペスカトーレ
を食べました。
南の方がパスタの茹で方が「硬い」とは聴いていたのですが、これ程までとは…
見た感じで、すでに硬そうな一皿なんですが、なんとフォークで巻けない‼︎‼︎
いつもの様に2、3本フォークにとって巻くんですが、持ち上げると
ビヨヨーン
と戻ってしまう。
これは友人と大笑い。
ナポリの他のお店でも同じ様に硬かったので、地域性なのでしょう。
逆に、フィレンツェで部屋を貸してくれていたお婆ちゃんは、さすがにソフト麺の様に柔らかめのでした。
こんな感じで、日本人がご飯の固さに好みがある様に、パスタの『アルデンテ』も人それぞれで良いと思います。お気に入りのお店などの硬さを目指して茹でると良いと思います。

でも、これでは「コツ」にならないので、ちゃんと説明します。
だいたい、他の方が言っている様に、袋に書いてある茹で時間より1〜2分短めにゆでるのがコツです。
この1〜2分で好みが別れます。硬めがお好きな方は短めに茹でて下さい。メーカーによっては定格の茹で時間でも十分美味しい場合もありますので、色々試してみると良いと思います。
ここで注意点が一つ。
茹で上がるまでにパスタソースを仕上げておく事‼︎
茹で上げたパスタをザルに開けて、それをほったらかしでソースを作っている姿を何かで見かけました。
これでは、せっかく短めに茹で上げたパスタの意味がないです。
しかも、置いておく事でパスタの表面がベタついて食感が悪くなります。

パスタは茹で上げたら、すぐにソースの鍋に‼︎
私は基本的には茹でている鍋からソースの鍋へ直接トングなどで入れます。(ソースの濃度に気を付けて入れます。)
そこから混ぜていくので、そこで最終的な硬さを調整できます。柔らかくなると戻りませんので、あしからず。
最初、少々硬めの方が食べていく内にだんだんと柔らかくなり、最終的に丁度よくなるくらいに仕上げると、美味しく感じる時間が長く楽しめます。
これも一つの技ですので、覚えておくと良いですよ。
私が思うに、パスタの芯がある事で歯応えがあり、その為によく噛みますよね。そうする事で、パスタの甘味を強く感じる事が出来るんだと思います。
その甘みとソースを合わせる事で、美味しく感じるのが
パスタ料理の醍醐味
なんじゃないでしょうか。
(前々から、人参のように甘味の強い野菜をパスタに合わせるのが苦手だったのですが、この記事を書いていて、自分で納得してしまいました)
今回、スパゲティなどのロングパスタを中心に書きましたが、
ショートパスタ(ペンネやマカロニ)や、生パスタ(フェットチーネ等)は『アルデンテ』に拘りません。
ま、これも好みなんですが、基本的には茹できっても大丈夫です。
逆に、アルデンテ過ぎると粉っぽくて美味しくないので気を付けましょう。
ここまで書いて、茹でる塩加減を書き忘れていました。
たまに、「後で塩をするのだから、茹でるお湯には塩をしない」と言っている人を見かけますが、ここでは伝統的にイタリア料理では塩を入れて茹でるので、入れます。
科学的にもアルデンテになり易いとか、表面がベタつきにくいとか、味的にもソースと絡み易いとか、最終的に決まり易いとかありますので、是非、塩茹でにして下さい。
(寿司のシャリが酢飯じゃなかったら嫌でしょ。料理の伝統ってそう言う物です。)

塩加減は海水までいかないにしても、味見して「塩っぱ‼︎‼︎」って思うくらい大胆にいって良いです。
茹で上げたパスタに味が無いと、ソースをどんなに濃く仕上げても、味気な〜いふんわりとした仕上がりになってしまいます。
茹で加減と塩加減。良いですか?
さあ、次でいよいよソースと混ぜていきましょう。

“2・ 茹で方で味は大きく変わります” への1件の返信