さあ、お待たせしました。やっと食べる時間がやってきました。
学生の時に「テーブルマナー」とかってやりました?

イタリアンの場合、そこまで堅苦しい形式みたいな物は無いですが、そこは文化の違いで、日本人にはわからない事もあると思います。
お皿を持ち上げて食べないとか、口に食事を運ぶ時に手を添えないとか、人が食べている物をもらわないとか、大皿や鍋をみんなで突かない(家庭では、基本的に“マンマ”が取り分けてくれる)とか、食べきれなかった物を平気で残すとか…数え上げるとキリが無いくらい文化の違いがあります。
私も留学中、現地のイタリア人の友達にビックリされたり、ビックリしたりしたものでした。
今回は、そんなマナーの事は置いておいて、シンプルに食べ方の問題です。
皆さんもご存知の様に、スパゲティはフォークで食べますよね。普通に。


意外とイタリアでフォークで食べる様になったのは中世位の時代で、その前までは手掴みで食べていたみたいです。
古いナポリの絵で、スパゲティを手で掴み、顔の上に持っていって、大口を開けて食べているのを見た事がある人もいるかと思います。




その昔、他所の国の王様を招待し、スパゲティを振る舞おうと思った時に(元々、パスタは庶民の食べ物だったんですが、時のナポリ国王がもてなしたかった様です)、流石に手掴みはまずいということになり、急遽開発されたのが今ある4本のフォークです(それまではミートフォークの様な2本のフォークだった様です)。
4本のフォークだと今の様に巻いて食べる事が出来ます。
でも、イタリア人曰く、フォークで上手に巻いてスパゲティを食べられるのは、世界でイタリア人と日本人ぐらいだそうです。
最近では(最近でも無いか)、スプーンを使って上手に巻く人もいますが、「あれは不器用なアメリカ人が考えたのだろう」と友人のイタリア人が言っていました。






実際、イタリアのレストランでは、パスタを食べる時にスプーンは出てこないですよ(今はアメリカ人観光客が多いので、もしかしたら出ているかも?)。
浜松町でお店をしていた時に、アフリカのお客さんが来た事がありました。パスタを注文されたのでお出ししたのですが、そのお客さん、ナイフを頼まれました。どうするのか見ていますと、上手く巻いて食べられないので、ナイフで細かく切ってフォークですくって食べていました。
私達からすると明かに食べ難いでしょうが、彼からするとその方が食べやすかったのでしょう。
滞在中、毎日の様に来てくださったので、それでも気に入ってくれていた様です。




さて、日本のパスタ屋さん(レストランの様にお高い所では無いお店)などでは、お箸も出てくる所が多いと思いますが、ちょっと待ってください。
日本人なので、箸で食べる方が食べやすいと思いますが、


スパゲティは巻いて食べるからこそ美味しいんです。
イタリア人は上手に巻いて、一口で食べられる大きさにします。
スパゲティを、ソースと絡めて一口の大きさにして、口に運び、モグモグと噛むと、アルデンテのコシから来る小麦粉の甘味と、ソースやチーズが絡まって一つの料理が完成します。
すすって食べてしまうと、折角のソースが唇でこそぎ取られてしまい、味気ないどころか、口の周りまで汚れてしまいます。


言ってみれば、握り寿司をネタとシャリを別々に食べる様なものです。それはそれで美味しいかもしれないですが、作っている側から見ると残念な感じですし、美味しさも半減ですよね。
蕎麦やうどんやラーメンなどは、空気と一緒に「ズズッ」とすする事で、香りが鼻に抜けて美味しく味わえると言います。液体の出汁やスープも程よく口に含めて、楽しめます。
欧米人が、上手くすする事が出来なくて、口に含んで「アムアム」としているのを見ると、残念な感じがしますよね。
色々な料理には、伝統的に美味しく食べられる方法があります。前述の様に難しかったりする場合はしょうがないとしても、その通り食べた方が楽しめると思いますよ(ただ、パスタ以外の料理は箸でもいけるかな?)。


ここで、チョットだけアドバイス。
たまに巻いていて、巨大なスパゲティの団子を作っている人がいますが(ウチの末っ子がそうです)、フォークの端っこで3〜4本引っ掛けて、お皿の端っこでクルクルっと巻くと、一口大くらいに巻けますよ。


後、パスタを食べ終わった時に、綺麗にソースが無くなるのが理想です。
これは作る側も、食べる側も意識したいですね。
ま、ウンチクをツラツラと書いてきましたが、ようするに、楽しく美味しく作って食べましょうね。
説明の足りなかった所は、今後補足していきますので、お楽しみに。



