シーフード系

ムール貝

一昔前、私が料理の世界に入った頃は、イタリア料理と言えば魚介料理のイメージが強かったですね。地中海料理や南仏料理と混同していたのかも知れないです。

因みに、私の滞在していた“フィレンツェ”では、週に2回しか市場にシーフードが届かなかったので、もっぱらお肉料理がメインでした。

(スーパーでは普通に売っていましたが、元々生で食べたりはしないので、日本のそれに比べると全然イマイチでしたよ)

その代わり、トスカーナの海側、

リヴォルノの漁港

リヴォルノ や

ヴィア レッジョ

更に南に下って

ナポリ や

カプリ島

などに行くと、街に魚屋さんやシーフードレストランが溢れていて、店先に色々な魚介類が並んでいました。

シーフードパスタで思いつく物は

ヴォンゴレ(赤、白)

ペスカトーレ(赤、白)

セッピア(イカスミソース)

代表的な物はこれくらいでしょうか?

後はスカンピ(手長海老)、カニ、牡蠣などを使ったオリジナルの物ですかね?

ここは、ポピュラーでお手頃な

ヴォンゴレ

を説明しますね。

(ペスカトーレは材料を集めるのが大変だし、高くつくので、ハレの日にお楽しみ下さい。

まず、ヴォンゴレとはイタリア語で「アサリ」の事です。

ヴォンゴレ・ロッソ と ヴォンゴレ・ビアンコがあるのはご存知かと思います。

ロッソが「赤」でトマト入り。

ビアンコが「白」で白ワインで。

アサリは国産の殻付きを選びましょう。最近高くなってきましたが、香りとコクが全然違うので是非美味しい物をお選び下さい。

白ワインは、調理用でも、飲む用でも、どちらでも。ただ、ワインも良い物を使うと美味しく出来上がります。

私は、飲む用のワイン(イタリア産)を使って、余った分はパスタと一緒に楽しみます。

さて、作りましょうか。

パスタは、スパゲティ(太め)か、リングイネがオススメです。

私は茹で始めると同時にソース作りも始めますが、間に合わない心配がある方は、ある程度作ってから茹で始めると失敗しないですよ。

蓋が出来る鍋にEXオリーブ油とニンニク、お好みで唐辛子を入れて中火くらいにかけます。

そう言えば、ニンニクの使い方の説明をしていませんでしたね。

みじん切りにしたり、潰すだけだったりしますが、みじん切りの方がガツンとニンニクの香りが立ちます。

あまりニンニクを強調したくない時は、軽く潰しただけの物を丸ごと入れて、後で抜いたりします。

意外とイタリア人はエチケットを気にするので、ニンニクは好きじゃないです。日本のパスタ屋さんの方がニンニクの匂いが凄いです。

続きです。

ニンニクが軽く色付いてきたら、キレイに洗ったアサリを入れます。

この時勢いよく入れると、鍋の中の油にガスの火が移ります。そうすると出来上がりがガス臭くなるので、優しく投入して下さい。

軽く揺すって、アサリに油を絡ませたら白ワインを入れて、蓋!

火を強火にして、一気にアサリの口を開けます。たまに蓋をしたまま鍋を揺すって均一に開く様に促します。

白ワインを入れるタイミングですが、アサリを入れてからもたつくと、鍋の温度が下がったり、アサリから水分が出たりで、白ワインのアルコールが飛び難くなるので、出来るだけ手早く‼︎

だいたい全部のアサリが口を開けたら、蓋をとります。

なかなか開かないアサリを無理矢理開ける場合は、鍋以外の所でやって下さい。万が一腐っていたり、砂だらけだったりすると全部台無しになりますので(ランチの時にやると悪夢です)。

唐辛子を入れた方はこの辺で取り出した方が良いです。唐辛子の辛み成分は水溶性なので、このまま煮詰めると辛くなり過ぎますので、お気をつけて。

(ただ、唐辛子は個体差があるので、辛くなる物もあれば、辛くならない物もあるので、適宜味を見て確認して下さい)

蓋を外したら、煮汁を少々煮詰めます。アサリの状態で汁の量が違うので何とも言えないですが、鍋底に薄っすら残るくらい。

気を付けたいのは、シャバシャバのスープ状はマズいです。

日本ではある程度“市民権”を得ていますが、イタリアにスープパスタはありません。ミネストローネポタージュ系のスープに浮き実として入れる事はありますが、あれはスープです。

イタリア人がパスタを調理する時に、一番気を使うのが

いかにパスタにソースを絡めるか

です。

食べ方も上手い物で、パアスタを食べ終わる時には、ソースも無くなっています。絡まりやすいソースと絡めて食べるイタリア人だから出来る芸当ですね。

なので、私的にはスープパスタは

無しです。

後、ここの煮詰め方が甘いと、折角のアサリの旨味がボンヤリとした感じになって残念な仕上がりになってしまいます。

煮詰まったら、火を止めてパセリの微塵切りをバサッと(イタリアンパセリが良いな)。パスタの茹で上がりを待ちます。

ロッソの場合、ここでトマトソースを加えます。普通のトマトソースのパスタの半分くらいで良いです。あくまでも、主役はアサリなので、トマトは、ほんのりで。

基本、ヴォンゴレはアサリの塩分だけでいけるので、塩はしないです(味が薄い場合はして下さい)。

パスタは、30秒〜1分くらい短めに茹で上げます。

アルデンテより少々硬めなので、ソースの鍋の中で軽く煮込んで、アサリの出汁を吸わせてアルデンテに仕上げていきます。

パスタの硬さを見ながら、中火くらいで和えていきますが、水分が足りなくなってきたら足します。

普段ならパスタの茹で汁をいれますが、もうすでに塩気が十分の場合は真水でOK。

パスタもアルデンテになり、ソースもトロッとするくらいを目指して仕上げたら、美味しいオリーブ油をチョロっと垂らして仕上げます。

お店では殻ごとのアサリを鍋の中で混ぜまくると、殻が欠けて、食べた時に「ガリッ」とするので蓋を開けた時点でアサリは別皿に出しておきます。

その方が、アサリも縮まないのでアサリ自体も食べ応えがあります(一緒に煮詰めるとアサリの身が縮んでしまうので)。余裕があったら試してみて下さい。

お皿に盛り付けたら完成です。

ヴォンゴレって、殻が付いてるので食べ難いですよね。

イタリア人も食べ方は色々で、先に殻を外す人もいれば、先にパスタを食べて、後からアサリを食べる人。意外と居たのが、アサリを全く食べない人。出汁的な感覚なのですかね。

オススメは、やっぱり美味しいうちにパスタを食べて、後からアサリの方が良いかな?

よく冷えた、しっかりめの白ワインがあると、倍楽しめますよ‼︎

特に私は「オルビエート クラシコ」が好きです。白だけど、しっかりした味わい。

ペスカトーレは、ここに別の魚介類(エビやらイカやらタコやら)を入れれば美味しく出来ます。詳しくはまたの機会に…

シーフードの旨味をしっかりと引き出してやって、それをパスタに吸わせてやったら絶対に美味しくなります。臆せず挑戦してみましょう。

次はクリーム系ですね